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綿貫は突然の穂積の告白に戸惑った。穂積の目を見ても、嘘の色は見えない。
真剣に答えなければという思いから、綿貫は自らに立てた誓いのことを話すことにした。
「…ごめんなさい。過去に少し…あって、僕はもう恋をしないと誓っているんです。」
穂積は少し悲しげな表情をしたが、すぐにパッと元の優しい微笑みに戻った。
「そっか、ごめんね。じゃあ、友達として仲良くしてくれるかな?」
「それはもちろん、喜んで!」
勇み足気味に答えた綿貫が可愛く、穂積は思わず笑ってしまった。綿貫の過去については今は分からないが、少しずつ知っていけばいい。そうして綿貫が前を向いて生きていければいい…そう穂積は願った。
「怜くん、プライベートのアドレス教えておくね。何かあったらいつでもどうぞ。」
穂積は帰り際、そう言ってメモに書いた自らのアドレスを綿貫に渡した。綿貫の支えになりたいと思ったのだ。
「ありがとう…!涼さん、帰ったらメールします!」
敬語が主体だがが少し口調が砕けてきた綿貫の姿に、穂積はほっとした。もしも綿貫に拒絶されていれば、口調は砕けないはずだからだ。
「うん、じゃあまたね、怜くん。」
「はい、また!」
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