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綿貫の部屋はシンプルで、ほとんど物がなかった。椅子が2脚に机が1つ、机の上には申し訳程度に観葉植物が置かれていた。もう1部屋はおそらく寝室なのだろう。
「すみません、何もない部屋で…」
穂積が立ち止まっていたせいか、綿貫が少し申し訳なさそうに言った。男の1人暮らしなのに部屋がすごく綺麗で驚いただけだと伝えると、綿貫はほっとしたような笑顔で椅子をすすめてきた。
てきぱきと食器の用意をする綿貫を見ていると、やはり綿貫のことが好きであると自らの思いを再確認させられた。
「お待たせしました、とりあえず食べましょうか」
ものの数分で、綿貫により綺麗に皿に並べられた惣菜やつまみが出てきた。
「ありがとう」
穂積は綺麗に盛り付けてくれたことに対してお礼を言ったつもりだったのだが、綿貫がきょとんとした顔をしていたのでそのことを付け加えた。付け加えたことにより、綿貫にも理解されたらしい。
「いえ…」
少し照れたような笑顔でそう言い、綿貫は箸を手に取った。
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