そんな夜。こんな夜。

「飲みに行こう」
「冗談でしょ？」
「マジ」
「開いてる店、ある？」
「ある」
「男と女として･･･？」
「まさか」
「じゃあ、ナニ？」
「･･･」
「解った。付き合う」
「サンキュ。迎えに行くわ」
「30分経ってから来て」
「OK」

「何かあった？」
「･･･」
「ま･･･いいか」
「この店閉まったらオケ行こう」
「歌うって？」
「呑む」
「解った」
「サンキュ」
「･･･」
「大切な人を失った気がする･･･」
「･･･」

「私より年下？」
「8歳年下」
「え？」
「マジ」
「娘さん？」
「まさか」
「私の知ってる人？」
「いや･･･」
「誰？」
「多分･･･僕が最後に愛した人･･･」
「･･･」
「･･･」

「出よう」
「カラオケ行く？」
「いや･･･帰る」
「そっか･･･」
「ごめん」
「ううん、大丈夫」
「サンキュ･･･」
「その人の事、好き？」
「そんな軽い次元じゃ無い」
「･･･」
「一生愛すと決めたのにな･･･」
「･･･泣くくらいの人だった･･･？」
「･･･うん」

「･･･」
「･･･」
「･･･もう人を愛さない･･･？」
「･･･その人以外はね･･･」
「･･･」
「･･･」

「もう少し･･･泣きたい･･･？」
「･･･」
「うち、来る･･･？」
「･･･」
「おいで」
「･･･」
「タクシーでそのまま行く」
「･･･」
「･･･」
「情けない」
「何が？」
「もう･･･彼女しか愛せないのに･･･」
「･･･」

「誰？」
「ココロの綺麗な娘」
「･･･」
「もう無理なの？」
「多分･･･ね･･･」
「そこまで貴方に愛される娘･･･幸せだ･･･」
「失望させてしまった罪が大き過ぎた」
「･･･」
「もっと泣いて良いか？」
「･･･うん」

「糧が無くなった」
「糧？」
「･･･」
「そこまで愛してた？」
「･･･一生を捧げると誓った･･･」
「･･･」
「サンキュ。帰る」
「･･･」
「じゃ･･･」
「また呑もう」
「･･･いつかね･･･」