0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「1998年」と一緒に、「平成10年」と、年号が併記してある。
「出典はたしか、「史記」と「書経」だったか……」
腕を組んで、「実は、オレもうろ覚えだけど」と、亞輝斗は頬をかいた。
「「内平らかに外成る、地平らかに天成る」。つまり、国の内外、天地とも、平和が達成されるって意味を込めた祝であり呪」
祝と呪。
彼曰く、祝と呪は、表裏一体。そして。
「「言霊」は、一番簡単な「まじない」の基本だ」
人々が託し、「言葉」に込めた「諸々」の「願い」。
「最初はさ、「珍しい白い動物が献上された! めでたい!」だの、「綺麗な雲が出たからきっとイイコトが起こる! やったぜ!」みたいな記念日のノリで、「天皇の崩御と即位」以外のきっかけで、結構頻繁にコロコロ変えてたんだぜ」
でも……と、声を潜め、亞輝斗は不気味に笑いながら言葉を紡ぐ。
彼の白く、鋭い牙が、口の端からチラリと見えた。
最初のコメントを投稿しよう!