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雪みたいな人。
英語の授業で偶然隣の席になった彼に、そんなことを思った。
髪も、瞳も、色素が薄い。
いつも厚着をしているのに、寒そうに見える。
身長は高くて、肌は白い。
ひんやりとした空気を身に纏う彼はいつか溶けてしまう雪に見えて、私は勝手に切なくなった。
"儚い"って、こういう感じなんだろうな……。
「はい、では今の座席で4人グループになって下さい!」
英語の先生は第1回目の授業で張り切っている。
「各グループ内で英語で自己紹介したら、先程配った課題に協力して取り組んで下さい!」
なんか高校までの授業と変わらないな……。
大学生になっても、この大学では授業が緩い。
大学はほとんどの授業が階段教室のイメージだったが、そんなイメージはあっさりと崩れた。
取った授業で階段教室を使うのは2科目のみだった。
「「「「……」」」」
私のいる4人グループは、隣の不思議なひとに加えて、入学前から付き合っていそうな男女。
気まずくて私が話し出してみる。
「ま、My name is……Seika Sonokawa. 」
すると、カップルは少し安心したように顔を見合わせて、1人ずつ名乗る。
「My name is Koki Hasebe.」
「My name is Yuki Muramatsu.」
「長谷部さんと……村松さん?」
「あ、あたしはユキでいいよ!えっと……セイカって呼んでいい?」
「うん……!」
良かった、仲良くなれたらいいなぁ……!
そして、不思議なひとはユキに促されてからようやく声を零した。
「My name is……Subaru Kasataka.」
笠高すばる、それが彼の名前らしい。
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