とある雪の夜の事

4/8

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 カラスは魂を喰う力しか持っていなかったけど、カラスの対局にいる天使みたいな存在もいるから、その力を使ってでもどうにかしようとしたんだ。  …無論、天使と接触するのも掟で禁じられていたんだけどね」 「…カラスはその人の事、本当に好きだったんだね」 「どうしてそう思うの?」 「優秀って事はそれだけ悪魔として頑張ってきた証拠でしょ?  …そんなカラスがそこまでするなんて、それぐらいしか考えられないもの」 「…うん、そうだね。  カラスは例え何を犠牲にしたって、その人を助けたいと、生かしたいと、救いたいと…そう、願ったんだ」  カラスはちょっぴり寂しそうな顔をして、おとぎ話を続けます。 「カラスは自分の知るありとあらゆる人脈を使って、その人を救う術を探して…そしてカラスはたった一つの、その人を救う術を見つけたんだ。  そしてついにその人を救う為の儀式を始めようとした、まさにその瞬間だった。  カラスより強く、地位も高く、でも情も優しさも無い奴に見つかってしまったんだ。 『その人間を殺せ。  さもなくば貴様を殺した後、私がその人間の魂を喰ってやる』。  …奴は、カラスをそう脅した」 「…酷い話。  せっかくカラスが本当に誰かを愛したのに…何もかもを犠牲にしてでも助けようとしたのに、それを邪魔するなんて」 「…悪魔の考え方だとカラスの方が異常だったんだ」     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加