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カラスは魂を喰う力しか持っていなかったけど、カラスの対局にいる天使みたいな存在もいるから、その力を使ってでもどうにかしようとしたんだ。
…無論、天使と接触するのも掟で禁じられていたんだけどね」
「…カラスはその人の事、本当に好きだったんだね」
「どうしてそう思うの?」
「優秀って事はそれだけ悪魔として頑張ってきた証拠でしょ?
…そんなカラスがそこまでするなんて、それぐらいしか考えられないもの」
「…うん、そうだね。
カラスは例え何を犠牲にしたって、その人を助けたいと、生かしたいと、救いたいと…そう、願ったんだ」
カラスはちょっぴり寂しそうな顔をして、おとぎ話を続けます。
「カラスは自分の知るありとあらゆる人脈を使って、その人を救う術を探して…そしてカラスはたった一つの、その人を救う術を見つけたんだ。
そしてついにその人を救う為の儀式を始めようとした、まさにその瞬間だった。
カラスより強く、地位も高く、でも情も優しさも無い奴に見つかってしまったんだ。
『その人間を殺せ。
さもなくば貴様を殺した後、私がその人間の魂を喰ってやる』。
…奴は、カラスをそう脅した」
「…酷い話。
せっかくカラスが本当に誰かを愛したのに…何もかもを犠牲にしてでも助けようとしたのに、それを邪魔するなんて」
「…悪魔の考え方だとカラスの方が異常だったんだ」
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