とある雪の夜の事

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「私、すっごく感謝してるよ?  クロが私の為にすっごく、すっごく頑張ってくれた事。  そして最期に出会えたのが、クロだった事に。  …私、神様にありがとうって言えるよ?」  クロはシロの手を握ります。  折れない様心を配り、けれど、ぎゅっと、しっかりと。 「…どうしてだ。  どうしてシロは、そんなに強くいられるんだ…!」  クロは叫びました。 「僕なんて好きで、大好きで、愛しているシロを見捨ててしまうぐらい死が恐ろしいのに!そんなものが目の前に迫っているのに!  どうしてシロは、そこまで強くいられるんだっ!」 「…私は死ぬんじゃない。  私の魂は好きで、大好きで、愛してるクロの一部になって生き続ける。  それが私の、クロに喰われるという事の解釈。  …だから私、怖くないよ?」  シロは告げます。  シロの想いを。  しっかりと、クロを見据えて。 「…ごめんなさい」  それでもクロは俯き、大粒の涙で床を濡らしながら謝りました。 「…それじゃあ、ね?クロ。  ごめんなさいの代わりに、私のお願い、聞いて欲しいなって」  クロは顔を上げ、目を見開き、涙をぐしぐしと拭い、  こくんと、頷きました。 「…キスをして。  最期ぐらい、恋人らしい事をさせて」     
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