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色んな人達が、色んな検証をしたけれど、結局上手い解釈は見つからなかったように思う。
彼らが、どうしてあんな事件を起こすことになったのか。
それを宗教の狂気のせいにしたり、理解できない人たちだと遠ざけるのは簡単だけれど、僕は時々思い出しては、事件に関わった僕と同世代の人たちのことを考える。
誤解を恐れずに言うならば、彼らに感じたシンパシーのせいかもしれない。
あの日、僕は、後に何度も別れ、また付き合うことになる彼女と、昼近くまでベッドでまどろんでいた。
僕も彼女も大学を卒業し、就職先の研修が始まるまでの、ぽっかりと空いた休暇みたいな時間だった。
阪神大震災の余韻冷めやらぬ、傷ついた日本で起きた、同時多発テロ事件。
出勤時間を狙って、霞が関周辺の地下鉄に、サリンが散布され、多くの死傷者を出した。
裸のまま布団に包まって、温かくやわらかい彼女の身体を抱き寄せて夢うつつだった僕の腕の中から、リモコンでテレビのスイッチを入れた彼女が跳ね起きた。
そして、彼女をもう一度抱き寄せようとする僕を、力任せに叩いて起こした。
痛いなと文句を言う僕を一顧だにせず、彼女の目はテレビにくぎ付けだった。
その視線を追い、僕もしばらく、テレビから目を離すことができなくなった。
事件発生から数時間経っていたけれど、報道は混乱していた。
僕らは、東京で毒物が撒かれ、多くの人が被害に遭ったという、信じられないような事件にただ、言葉を失った。
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