紅夜叉復活

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紅夜叉復活

椥辻駅に着いた僕は、東野公園へと向かった。 そして、東野公園前の雅人くんが住む団地に着いた僕は、まずは雅人くんの単車があるのか確認する為に駐輪場へ向かう。 「よう!鮎川、休戦なんとかなりそうけ?」 駐輪場に雅人くんの単車は停まっており、側には花一輪の准一くんがいた。 「あ、こんにちは。今日はその事で雅人くんに話をしに来たんです」 「そか。そやけど雅人な、まだ帰って来とらんねん。俺も6時(18時)くらいに来てくれって言いよったから待ってんねんけどな」 僕が椥辻駅に着いたのは、たしか18時をまわったくらいだったはず。 「仕事が忙しいんですかね?」 「わからん。まあ、あいつが殺られる事はないやろうから、そうなんかもしれんな」 「殺られる!?まさか花一輪もバットで殴られたりしてるんですか!?」 「……やっぱ、お前んとこもか。俺らんとこも何人か頭割られとるんや」 と言う事は、山科にも魔風威夜が現れていると言う事だ。 宇治、山科に三条周辺、もう京都市内のほとんどは安全じゃなくなってしまった。 「あの……やっぱり相手は魔風威夜を名乗ってるんですよね?」 准一くんは頷く。 「最初は全然信じてなかったんやけどな。まあ、今も半々くらいしか信じとらんのやけど。お前んとこは、何人くらい殺られとんねん?」 「工藤くんに聞いた時は、たしか8人だったと思います」 「おい待て!?四天王の工藤が動いてんのか!?こりゃ、魔風威夜ってマジやないか!」 准一くんも、右京連合の四天王の事は一目置いているようだ。 改めて僕は、工藤くんの事を凄い人なんだなと実感させられた。 「おっ、雅人%20帰って来よったわ」 僕が准一くんの言葉に後ろを振り向くと、自転車に乗った雅人くんがこちらに向かってくるところだった。 「おー、鮎川もいてるやん。准一、わりぃな、待ったか?」 やはり、仕事が忙しかっただけのようだ。 雅人くんは、拍子抜けするほどめっちゃ元気だった。 「だいぶ待ったわ。残業か?」 「いやー、途中でコーヒー買おうとしたら、自販機の下に100円落としてな。えらい大変やったわ」 さすがです、雅人くん。 待たせた准一くんに笑顔でそう言えるなんて、工藤くんとは別の意味で凄い人だ。 准一くんは「頼むわ~」と苦笑いをしている。 雅人くんは、どこか憎めない、相変わらず変わった人だった。
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