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「それって、もしかしてお昼前の話ですか?」
カップルの話が気になった僕は、自分でも気づかないうちに話しかけていた。
いきなり僕に話しかけられたカップルは、一瞬、驚いたような顔をしていたが、どうやら誰かに話したかったらしく、笑顔で僕に答えてくれる。
男「そうそう。あん時、あんたらも鴨川いたはったん?急にケンカが始まったから、びっくりしたよな」
僕「いえ、僕はお昼前くらいに、鴨川で警察が何人かの人達と もめているのを見ただけで。何があったのか気になってたんで、もしかしたらお兄さん達が話してる事かなと思ったんです」
女「あん時、見てたんや。あれ、うちらもいたんよ」
男「俺ら、鴨川に座っててんけどな、いきなりすぐ側でケンカ始まったんや。あれ、何人くらいおったかな~」
女「8対5くらいやなかった?」
男「そんな感じやったな。とにかく人数多い方がみんなバット持っててな、相手ボッコボコやったわ」
女「あれはもう一方的過ぎてケンカちゃうし」
男「そんなケンカ、やっぱ、見てて酷いて思うやん。俺らの他にも何組か鴨川に座ってたんおったんやけど、みんな騒いじゃう訳よ。やめろよ、やりすぎだって。そしたらバット持った奴らが俺達にも絡んで来よってな」
僕「…よく無事でしたね」
女「それがね、なぜかうちらは口で威圧されただけで、手は出されなかったの」
男「最初の相手は、ほんまにボッコボコやったのにやで」
僕「へぇ~、なんでだろう……」
女「不思議でしょ?」
男「すぐに警察いっぱい来よったんやけど、あいつら上手いこと逃げよってな。後から救急車も来て、殺られた奴らは病院に連れて行かれよったわ」
女「んで、うちら間近で見てたもんが警察にいろいろ聞かれてさ、おかげで今日の予定が狂っちゃったのよね」
僕「災難でしたね」
男「ほんまにな。ま、良い話のネタ出来たからもうええけどな。そやけど、さっきの鴨川のんは、絶対あいつらの仲間やと思うわ」
女「河原町通りんとこもね」
僕「河原町通りでもあったんですか!?」
男「ああ。2、3人は病院行きやったろうな。かわいそうに…」
( そうか。だからあんなに混雑していたんだ )
僕がそう思った時、浜大津行きの地下鉄がやってくる放送が流れた。
男「悪いけど、俺ら次ん乗るし。あんたらも気ーつけなあかんで」
僕「あ、はい。ありがとうございました」
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