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「で、ひとしは何のようなん?」
僕は頭を切り替えて、工藤くんの言葉を雅人くんに伝えた。
「右京の集会って……お前、本気で工藤はそんなこと言ってんのか?」
僕から工藤くんの言葉を聞いて、先に口を開いたのは准一くんだった。
「はい。僕に花一輪を連れてくるようにと」
「花一輪って……それで何人だ?」
「えっ?」
そんな事を聞かれるとは思ってなかった。
工藤くんからは、花一輪を連れてくるようにとしか言われていないのだ。
「花一、連れて来いって言っとんねん。んなら、全員で行ったったら良いやん」
僕が返事に困っていると、横から雅人くんが笑顔でそう言ってきた。
「そうやな。全員で乗り込んでやろか」
准一くんも、全員で異存はないようだ。
僕は、ふと疑問に思った事を聞いてみる。
「あの……花一輪って、全部で何人いはるんですか?」
「ん?なあ准一、俺ら何人おったかな~」
「何人やろな。ま、鮎川、当日楽しみにしとれよ」
「はぁ……」
なんか、はぐらかされた気がする。
とにかく、花一輪が集会に来てくれるのだけは間違いなさそうだ。
「悪い。俺、ちょっと着替えてくるね」
その話は終わりだとでも言うように、雅人くんは団地の中に入って行く。
准一くんと2人になった僕は、タバコに火をつけた准一くんに話しかける。
「あの……集会する場所は聞いてるんですか、何時からなのかは聞くの忘れちゃって……だから、詳しくは明日とかでも良いですか?」
「休戦は鮎川に任せるて言ったろ。お前の言うように俺達は動くから心配すんな」
「は、はい……」
やっぱり、僕の行動1つ1つが責任重大だ。
雅人くん達に本当に集会に来てもらうまでは、僕がしっかりしないといけない。
「お待たせ。そんなら、行こか」
雅人くんは、5分もしないうちに着替えて戻ってきた。
「なんや そのかっこ。行くってどこ行くねん?」
「今から北山 行くよ。そうやな……やっぱ、准一にも着替えてきてもらおっかな」
「……わかった。10分で戻るわ」
雅人くんは特攻服を着て戻ってきた。
雅人くんに着替えてくるように言われた准一くんは、家が近いのか、走ってこの場から去っていく。
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