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「おいハル、寒いから窓閉めろ」 「んー…俺は寒くないよ」 そう言ってハルは窓の外に煙を吐き出した。 外は、もう息が白くなるほど寒い季節になっていた。 冬の夜気にヤツの吐息が白く光って、綺麗だった。 「お前が寒くなくても俺が寒いんだよ」 「ああ、あんたオッサンだもんな」 「黙れクソガキ」 口数は少ないが口の減らないガキだった。 ―――雨の日が、寒くなってきた頃に、俺は男を拾った。 汚い路地裏で、生ごみにまみれて、ずぶ濡れで怪我だらけで、倒れていた粗大ゴミみたいな男をなんの因果か俺の性か、拾った。 俺は男が好きな訳じゃない。 ただ犬や猫が捨てられているのを見ると居てもたってもいられなくなる性分なのが災いした。 俺より一回りも年下の、高校生であろうと思われる男はハルと名乗った。 色白で、細い体で、尖った綺麗な顔をしていた。 傷はひどいものだったが、決して不良には見えなかった。 自然なままの黒い髪は、肩に余裕でつくほど長く、顔の大半を隠してた。 ヤツはなにも言わず、俺の家に勝手に居ついた。 家事やその他諸々、家のことは頼まなくても気づけば全部してくれていた。
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