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部活を終えて荷物をまとめて、帰る前にトイレに行こうと思ったら嫌いな先輩たちが数人見えたので、荷物が重かったけど階段を上がって普段使わない上階のトイレに行った。
電気のついていない薄暗いトイレからすすり泣く声が聴こえて、お化けじゃないかって一瞬怯えたけどトイレの前に荷物を置いてたら絵梨花がトイレから出てきた。泣いてた。
「どうしたの?」
と先に訊いたのは絵梨花の方だった。
「いや、どうしたのは絵梨花でしょ、蓮太朗となんかあったの」
赤い鼻でまつげが濡れたままの絵梨花は手の甲で涙をぬぐいながらケタケタと笑った。
「ねーナプキン持ってない?きちゃった」
モテる女子特有の馴れ馴れしさで絵梨花は私に言う。私は部活のカバンの内ポケットに確か入っていたはずと手で探る。
「なんでまだいるの」私は訊く。
「もう練習終わったの?」絵梨花は私の質問に答えず話題を変える。
「うん、もう三年いないし、試合もしばらくないからさ。はいこれ。羽根なしだけどいい?」
「いい、いい全然。ありがと」
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