1人が本棚に入れています
本棚に追加
受け取って絵梨花がトイレの個室に入って行ったので私は荷物をまた抱えたけど、そうだトイレがしたかったんだとまた荷物を床に下ろす。顔をあげると個室に入ったはずの絵梨花がナプキンを持ったまま目の前にいて「マック行かない?」と聞いてきたから、考えもせずに「ああ、うん、いいね」と答えてしまう。
駅前のマクドナルドに絵梨花と二人で行くのは初めてだった。
私は制服のスカートの中にジャージのズボンを履き、黒髪を一本に束ねている。一方絵梨花はおしゃれにブラウスを着崩し、首を動かすたび綺麗に巻いた栗色の髪が肩で弾むように揺れる。
マックフルーリーをおごってくれるというので、私は2階の禁煙席で空いた席を探し部活の大きな荷物を床に置いた。
しばらく待つと両手にマックフルーリーを持った絵梨花が階段を登ったところで見回して私を探していた。
私は手を振って絵梨花にここだよと合図する。
席につき、「いただきます」と両手を合わせてから食べはじめる絵梨花を見て、ちゃんとしてるんだなと感心する。
「蓮太朗と何かあったの?」
「なんもない。うまくいってる」
「そっか、よかった」
うまくいってるなら言う必要ないかと思ったけど、せっかくこうやって誘ってくれたんだし絵梨花にとっては喜ぶべきことかもしれないので、私はさっきLINEで見た情報を話すことにする。
「萌が蓮太朗にチョコ渡したけど……」
「知ってる」絵梨花が遮るように答えた。
「……知ってたのか。良かったね。蓮太朗やるじゃん、受け取らないなんてさ、絵梨花一筋だからでしょ」
最初のコメントを投稿しよう!