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蓮太朗を避けるのは難しいかと思っていたけど簡単だった。蓮太朗もわたしを避けたからだ。蓮太朗のことを考えなければ生理が遅れていることも忘れられた。このまま蓮太朗と別れて全てがなかったことにすれば、普通に生理がくるんじゃないかと思った。けれど何日待っても生理はこなかった。 生理が遅れて2ヶ月が経った日、学校の一番高いところから飛び降りるのが良いかもしれないと思って屋上に行った。鍵がかかっていて外へ出られなかった。どこか屋上へ出られる窓がないかしばらく探したけど無かった。諦めて階段を降りると、誰もいなかったはずの踊り場で将棋をしている男子が二人いた。わたしが階段を降りてから何かを話している声が聞こえて、わたしの噂話でもしているのかと耳を澄ませていると「斉木さん」と私を呼ぶ声がする。 驚いて下を見ると萌がいて、メガネの奥からわたしを睨み付けていた。 萌はゆっくり階段を登りながらこちらに近づいて、わたしの立っているところより数段下で止まった。 「なに」 「斉木さん」 こわい。萌は少し息があがっていた。走って追いかけてきたんだろうか。 「あたし、宇井くんに、チョコレート渡すから」 踊り場で将棋をしていた男子も萌の声をきっと聞いているだろうと思った。 「だからなに」 「斉木さんには、言っておこうと思って」     
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