第1章 眠っている果実

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西暦2115年、現代ではほとんどのものが人の手を借りず動かされている。 日本の生活は約100年の間にめざましく変化して行った。 日本の人口は約1億人から半数ほどまで減り、その約6割が移民となってしまった。 日本にあるほとんどの大手企業は、多様化するニーズに対応すべくさまざまな事業に参入していったが、あまりにも他社との価格競争が激しくなり、結果的に売り場を日本から離れ、アメリカ、欧州諸国に移すこととなった。 サービス業、生産・加工業がメインであった日本の産業は、大手企業が国内から海外向けに生産をシフトしてから、急激に衰退していった。 生産・加工業で生き残ったものは、ロボット製作や宇宙開発関連のもの程度で、その他は、中朝安民共和国(中国と朝鮮が併合)や、ロボットでの加工生産が盛んなインドに生産業が移った。 生産業がうまくいかなくなった日本では、他の産業もうまく回らなくなり、日本経済は弱体化した。 政治でも大きな変化が起こった。 移民者で就労5年働いたもので、税金を毎年払っていれば選挙権が与えられるようになった。 制度改正後、日本の政治家のほとんどが中朝関連に精通する者となり、どんどん日本の領土は縮小された。 日本の領土は西は兵庫、東は千葉となった。北海道から東北、埼玉付近までロシア連邦の領土となり、岡山から鹿児島までが中朝国領土、沖縄は米国が管轄するようになった。 言語は日本語で統一されているものの、他言語が多いため、小学校から4カ国の学校に分かられている。 小学校から大学まで進学するためには、多額の授業料を支払うことと、多様な試験に合格しなければならない。それ以外の方法でいくには、親のコネや他を寄せ付けない天才的知力が必要となる。 大学卒業後には、エンジニアや政治家への道が拓けてくる。
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