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改めて見ると、輝はとても不思議な人だ。
キラキラしたオーラを身に纏っていて、その存在感は偉大なもの。
近寄り難いように見えて、親しみやすい。
明るくて、人を惹きつける力がある。
そして、何より輝の傍は居心地が良かった。
まだ、数時間しか経っていないのに何故かそう感じた。
映画館を出ると、辺りはすっかり夕焼けに染まっていた。
近くにあった、時計に目をやると4時を少し回ったところ。
「愛海、少し休憩しない?」
そう言って、輝は近くにあった、木々豊かな広場みたいな場所を指差した。
ベンチが数個しかないような空間。
迷わず頷き、輝の後を着いて行く。
ベンチに横並びに座ると、少しだけ緊張した。
「あのさ」
少しの沈黙の後、輝からその沈黙を破った。
「ん?」
「今日は、ごめんな」
予想もしない輝の言葉。
「何が?」
とりあえず、聞き返す。
「なんの計画もたてずに誘ったこととか?」
なんだ。そんなことを気にしていたのか。
「別に、結構楽しかったよ?」
自然と出た言葉。
本当に楽しい一日だった。
輝と過ごす一日は、まるで一瞬のような感覚だった。
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