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ドキドキドキドキ。
あり得ない速さで心臓の音が加速する。
輝が?私と付き合う?
ってゆーことは、輝は私が好きなの?
「……」
無言の私。
何で?
何で私?
頭の中をぐるぐると回る。
そんな私の顔を、心配そうに覗く輝。
「嫌?」
「嫌とかじゃないけど…」
というより、私も彼のことが好きだ。
でも……。
「輝のこと、まだよくわからない」
「これから、知ればいいじゃん」
私には素直に返事ができない理由があった。
「俺のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ?」
輝の眼差しが痛いくらいに身体に突き刺さる。
「じゃあ…」
「ごめん。考えさせて」
輝の言葉を遮ると、私は猛ダッシュで駅へ向かった。
「おい!愛海!」
後ろで輝が私を呼ぶ声がしたけど、私は振り返らなかった。
というより、振り返れなかった。
溢れそうな涙をこらえることが精いっぱいだったから。
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