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最終章〜人生最後に見る君〜
目を覚ませば病院にいた。あぁ、死ぬのか。流石に今回は命を落とす。それに、もう後悔はない。諦めというよりも、ものが移り変わることは絶対で抗うことはできないという切なさがあるだけだ。
今、この死ぬ瞬間さえも幸せに感じる。隣で亜子たちが見守っているから、こんなに嬉しい最後を迎えられた。彼女たちにはいくら感謝しても足りないくらいだ。産まれてきてくれて、生きていてありがとう、と何度も繰り返した。
胸が締め付けられるような苦しさで、あの日のことを思い出す。苦しさに起こされると、隣には亜子がいて、この手を握ってくれていた。小さくて華奢な手なのに暖かくて心なしか楽になれた。
今も変わらずに隣で手を握っているのは亜子で、くしゃくしゃの顔をした彼女は涙を流しながら何かを言っている。聞こえなくとも、以心伝心で彼女の気持ちは伝わってきた。小さい頃からの思い出を一つ一つ語っている。
小学校の学園祭、中学校の体育祭、高校での青春――。
いつの日か一緒に買ったお揃いのペンダントが快晴の空のように青く光り、懐かしい思い出が無限のように溢れかえってしまう。涙が視界を悪くする中、くっきりと映っているものがあった。
それは――人生最後に見る君の笑顔だった。
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