1 巡り合わせ

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───「痛っ」 家に帰宅後、私は膝の手当をしていた。 先程の逃げる時に転んだからだ。 私は元々不器用でどんくさい。 だから、けがをすることには慣れているが。 神社であったことを思い出すとまだ憂鬱だった。 悪い人ではなさそうだけど。 それに、あの目… 「その傷、痛そうだな。」 後ろで声がした。 振り返ると、さっきの男の人! 私のけがを後ろからのぞき込んでいる。 「ぎゃあああああ!!!!」 本物の悲鳴を上げるのは初めてだ。 ここ家の中!! 「な、な、なんで家の中に… 不審者!?」 そう言ってそいつを指さす私の腕は震えている。 私はさすがに怖くて、後ろにあとずさる。 鏡台にぶつかった。 私は振り返って、鏡を見る。 「え!?」 私の頭に鈍器で殴られたような衝撃が広がった。 なんと、後ろにいるはずのそいつは鏡に映っていなかったのだ。 目の前に確かにいるのに… 自然と窓ガラスにも目がいく。 だが、どこにも彼の姿は映っていなかった。 私は驚いて声が出なかった。
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