0 一条ひより(34)の不安

3/4
前へ
/47ページ
次へ
その言葉を聞いて、私はダッシュで璃世の部屋へと走って向かう。 「璃世!入るわよ!」 急いでドンドンとノックをすると返事も聞かずにドアノブを捻る。 「え?」 が、ドアはガンッと鈍い音を立てるだけで開いてくれない。 ドアノブが空しく上下に動くだけ。 「部屋に何で勝手に鍵掛けてるの!?」 「私だってお年頃の女の子よ?勝手に入ったら許さないから」 部屋の向こうに向かって叫ぶと中から返事は返ってきたが、やはり素っ気無い態度で私は更に不安に襲われる。 「そうだよ、ひよ。璃世もお年頃なんだから」 その時、夫の(あきら)君がやってきた。 「俺も一緒だったから分かるよ?」 私は笑顔でサラリと言った暁君に血の気が引いていく。 俺も一緒ってところが益々怖い。 それに璃世は茶色がかった髪の色、鼻や目や口のパーツも、何を考えているかさっぱり掴めない中身とか、完全に暁君の生き写し。 私に似ているのは肩の下まで伸びている髪くらいだから。 でもまだSEC〇Mマークが付いてないだけマシなのか……。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

444人が本棚に入れています
本棚に追加