潜入捜査官 小暮翔人

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「というわけで、セクシーキャッツは売上を実際より低く見せかけていた。隠し口座は大東銀行だ」 端末に表示された立体映像の美優がうなずく。 「OK。早速そちらを当たってみるわ。潜入捜査お疲れ様」 翔人(しょうと)はカレンダーを見て息をついた。これでようやく休暇だ。今回の風俗店への潜入捜査で、昼夜逆転の生活にまだ馴染めない体は、重たい疲労を蓄積させていた。この報告が終わったら、まずは時間を気にせずゆっくり眠りたい。 「ひとつ片付いたところで悪いんだけど、明日、オフィスに来てもらえる?」 「はぁ?」 思わず不機嫌な声が出た。眉間にシワを寄せて美優にガンを飛ばす。しかし立体映像の彼女には翔人の睨みも効果がなかった様子で、軽い調子で「時間は午前10時ね」と付け足された。 「ちょ、待てこのクソ女!」 翔人の抗議も聞かずに美優は一方的に通信を切った。怒りがグラグラとこみ上げ、翔人は拳をテーブルに叩きつけた。
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