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そして暁君は書き終えたのか、離婚届セットを牧村さんに渡すと、
「貴女も書きなさい」
ずっと暁君にブリブリしていた牧村さんが、私に振り返り細い目と低い声で言った。
暁君と私との態度の差……。
「分かりました」
だが演技だと分かっている私は笑顔で受け取る。
暁君、本当にサインしてる。
演技でも離婚届にサインなんてしなさそうなのに。
こう思わせるのが暁君の計画だろうと心の中で納得すると、私もサインをして、渡された判子を押して欄を埋めると、私は笑顔で返却。
「どうぞ」
「円満離婚ね!」
離婚届セットを受け取り、鞄にしまう満面の笑顔の牧村さん。
「そうだね、役所に行こうか」
暁君がそう言うと、暁君の腕に腕を絡める牧村さん。
「うん、暁」
すると二人は私に背を向けた。
暁君、私は今回はもう分かってるんだから、止めないからね!
そして一歩、また一歩と遠ざかっていく二人。
私は追っ掛けないよ!?
すると二人は道を曲がって見えなくなった。
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