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心を閉ざしていた桜子が笑顔を取り戻すことができたのは、朧月夜家の家族のおかげだ。梅太郎や藤子、杏平がそばにいてくれたから自分は一人なんかじゃないと信じることができるようになった。柳一にも、そういう人がきっと必要なのだ。
(わたしが、柳一さんのそばにいよう。そして、あの人を笑顔にするんや)
桜子は、そう決心した。
でも、柳一のそばにいるためには、東京に行かなければいけない。小学校をあと二年、地元の女学校を五年間通って、柳一と結婚する日まで七年もある。
(七年後なんて遠すぎる……。一日も早く東京へ行きたい!)
そう考えた桜子は、東京の女学校に進学することを思いついた。
しかし、都会の学校だから入学試験は難しいにちがいない。絶対に合格するためにもがんばらなきゃと気合いを入れた桜子は猛勉強を始めたのである。
どんな時でも猪突猛進、一度こうと決めたらひたすらいちずな桜子は、自分でもおどろくぐらい学力が上がり、担任の先生から飛び級試験を受けてみないかとすすめられるほどになった。
そして、イチかバチで受けた飛び級試験に合格し、そのあとすぐに東京の名門女学校の試験にも受かったのだ。
ただし、女学校の合格通知が届いたその晩、桜子は勉強疲れがたたって高熱を出してたおれ、一週間ほど寝こんでしまった。そうとうな無理をしたのである。
(でも、これでようやく柳一さんのもとに行ける。待っとってね、柳一さん!)
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