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※※※
――小学校最後の冬は、去年と同じくらい、冷えこんでいた。
「また、雪がふるかもねぇ」
「楽しみかい?」
「うん♪ 去年と同じ景色、見たいよね!」
あの雪景色を見てから、もう、一年が経とうとしていた。
微笑む彼女に、俺はぽつりと呟く。
「……最後の冬、だもんな」
小学校の休み時間、こうして三人で過ごすのも、今年で最後だ。
「ニイくん、まるで世界の終わりみたいな言い方だねぇ。来年からは、楽しく花ある中学生だよ♪」
楽しいかどうかはわからないよ、と、冷めた自分は言ってしまう。
それに対して、彼女は明るく精一杯、夢見る話を語るのだ。
……そして俊一は、そんな彼女と俺を、面白そうに見つめている。
(保護者か、ってな)
――でも確かに、俊一は、そんな雰囲気を自然に持ってもいた。
そんな三人の、ゆったりとした時間。
「おーい。今坂の兄の方、いるか?」
呼びかけてきた先生の声で、俊一の様子が変わる。
「はい、なんですか」
「少し、手伝ってくれ。来週の行事でちょっとな」
「今、行きます」
俊一はそう応えると、小さく鼻の頭をかいた。
一言、「行ってくるよ」と俺達に言って、先生の手伝いへ走っていく。
「……すごいねぇ。自然に、ああできるって」
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