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ピロリン♪
突然、私の携帯の着信音が鳴った。
メッセージ? 誰からだろう。
画面を見た途端、私はベッドから飛び起きた。
それは、幸一からのメッセージ。
『メリークリスマス翼。急に部屋を移動しちゃってごめんね。僕は今、最上階にあるVIPルームにいます。今夜23時にそこへ会いに来て欲しい』
23時……?
そんな時間に院内を歩き回ったりして大丈夫だろうか?
でもそんな心配より、今は幸一に会いたい思いの方がずっと勝っている。
私は意を決して身支度を整えると、VIPルームのある最上階へと向かった。
VIPルームはこの病棟とは別の棟にある。
しんと静まり返った院内。
私は、渡り廊下のある人気のないロビーをそっと抜けて行った。
ロビーには、2メートル程のクリスマスツリーがキラキラと輝いている。
窓の向こう側には、降り出した雪。
「綺麗……今からでも幸一と一緒に見れたらいいのに」
それが今日、私が初めて見たクリスマスらしい光景。
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