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掛ける言葉は別にあった。
だけど私の頭は不適切な言葉を選び、また胸の奥が重くなる。
それでもいつもの様に私は正常に笑う。
「そうなのかい? それなら、それは私達のことだね。私達は死ぬことがないから」
「…転生は――そうね、あなた達は死ぬことが出来ない」
あなた達は、私達は。
まるで違う生物を表しているようだ、と思ったが私は気付かないフリをした。
ささいな言い違い、そう思いたかった。
そうでなければ私達を隔てる壁が突然現れて、二人を永遠に隔絶してしまうような気がした。
この思いをなんと言い表せばいいのだろう。
イヴは他に何か言いたげな顔をしていたが、話は終わりとばかりに私が座ってる椅子に強引に二人で座り込むと明日の夕食は何にしよう、と声を弾ませた。
いつもどおりの彼女だ。何も変わらないし、明日もきっと変わらない。
いや、明日はきっともっと楽しくなる。
私はイヴを軽く押しながらふざけあうと、パネルの操作を続けた。
決めていることがあった。
明日はイヴに言いたいこと、いや、お願いしたいことがある。
「実はね、明日はイヴに渡したい物があるんだ」
「何かしら」
「楽しみにしてて。明日のお楽しみだよ」
分かったわと言うとイヴは私に抱きついた。
そうして眠ってはいけないのに私は彼女の目を瞑った顔を見て安心をしてしまう。
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