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ドーム越しに燦々と降り注ぐ陽光を久しぶりに浴びた。
透過されたシェルガラスに向かってかざした手を握ったり開いたりして、小さくなっている己の体を改めて見直す。
異常はどこにも見受けられないが、何となくこれが癖になっていた。
現在の小さな手のひらと、あと数ヶ月後の大きな手のひら。
どちらも自分のものに違いない。
短期間で成長するそれらを知覚し、思いを馳せることが出来る生き物は他にいるのだろうか。
『ゆりかご』を出てから、ここに来るのは初めてだ。
肉体の再生と復活を繰り返させる『ゆりかご』。
光と水と塩と酸素と電気と、僅かな樹脂に似た成分で出来ているソレは、虹色の巨大な球体。
表面はゆらゆらと揺れていて、時々飛沫があがるが、液体が一滴でも溢れたことはない。
今日もウォーターシエル、『エデン』の中心で命をあやしている。
私はそこから数ヶ月前に三十三回目の生を受けた。
三十二回分の生きていた時の記憶は完璧に覚えている。
前回も前々回も老衰。今回もきっとそうだろう。
このルーチンワークは絶対的であり、安寧でもある。
人が死を恐れる必要がなくなってからもう随分と経つ。
代わり映えのない人生のループは、実を言うと少し退屈だ。
三十三回目の時のことを思い出してみよう。
生まれたばかりの私は、水に濡れた全身を犬のように震わせて雫を飛ばす。
おぼつかない足取りで、よたよたと進む。
空気を吸い込むと声帯が揺れ、酸素が脳と肺に達するまで何度かむせる。
出迎えてくれた仲間たちが、微笑みながら、私を優しく毛布に包んで水滴を拭いてくれた。
そこから完全に歩いて動けるようになるまでは、対してかからない。
成長は常に最適化されている。
水の都、貝殻の中に作られた私達の世界。
『ゆりかご』を中心として、いくつかの区画があり、私は比較的外側に近いエリアに住んでいた。
どこにいても、それぞれの区画をつなぐ回廊を歩けば海中は見れるが、私は広く、大きな本物の海が見える壁のほうが好きだった。
なんとなく懐かしい気持ちになるからだ。この気持ちはどこから来るのだろう。
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