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……ほら、やはり、止まっているではないか。
思考を停止して、海中のきらびやかな景色に癒やされていると、出しっぱなしにしていたパネルが再び点滅している。
「また探索項目、人らしき物体を発見……?」
画像データが送られてくる。
映っていたのは幅二メートル、高さ八十センチ、奥行き九十センチの鉄の箱だった。
成分表には鉄や冷凍処理に使われている物の他に人体を構成する物質が多数含まれている。
箱がアップにされた二枚めの画像をさらに拡大する。
――箱には私達が必ず教えられる名前が刻まれていた。
「Eve、博士?」
「……『ゆりかご』の設計者か」
仲間達は盛り上がっていた。
あの博士が見つかったのだ。
私たちの命を支えてくれる物を設計した人物。
感謝してもしきれない、というわけだ。
しかも人魚のスキャンによると、眠っているだけで体に損傷はないらしい。
早速、引き上げてお出迎えしよう、ということで話はまとまった。
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