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これはなんでしょう?
メロンよりやや大きい。
濃い緑のグラデーションに覆われた、白っぽい石。
正解は大きな宝石、ヒスイの原石。
私は、この石を返さなきゃいけない。
ただし、これを手にした経緯を説明しても、きっと誰にも信じてもらえない。
いっそ偽のエピソードを書こうか?
でも、うそを書くのは良心がうずく。
だからまず、正直に書こうと思うの。
――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――
私、真脇 達美は20XX年8月13日に起こったできごとを、可能な限り忠実に思いだし、ここに書き記すことを誓います。
とはいう物の、事件を最初から書こうとしても、どうしても思いだせない。
はずかしながら、それだけ慌てていたという事だろう。
今時、どんな田舎にもWi-Fi付きコンビニエンスストアや、スマートフォンがある。
それらによって集まった映像には、思いだすためのお世話になった。
それでも実体験を思いだせるのは、悪者に水筒をぶつけてやったあたりから。
それとも、私が彼らに守られた瞬間だからかもしれない。
その日は、真夏らしい熱線にあぶられていた。
家の手伝いもない。
そんな夏休みの日には、何も目的を持たずにブラブラするのもいいだろう。と思った。
そしたら、見たことのない怪物の群れに襲われた。
最初見た時、ロボットかと思った。
だって、全身が銀色の金属で覆われていたから。
あとで教えてもらった。
怪物たちは、異世界のラマクル王国からやってきたハンター。
ハンターを覆っていたのは歯車ランという植物の花びら。
ひじやひざなどの関節から伸びる緑色のリボン状のものは、その葉っぱ。
歯車ランはハンターに寄生して装甲と能力強化を与える植物だ。
その宿主となったハンターは、およそ本を読める環境にいれば、必ず目にする者たちだった。
コウモリにそっくりな、巨大な羽で空を飛ぶ。
トゲが何本も生えた長いしっぽ。
地上では、鋭い爪が生えた4本足で走ってくる。
張り出したあごに輝くのは、包丁より大きな牙。
ドラゴンだ!
その口から、真っ赤な火の玉が。ミサイルより大きな火の玉が、飛びだした。
当たった地点を凍りつかせる、冷気を放つ物もいる。
水を放ち、その勢いで物を破壊するものも。
どれも全長が15メートル以上あるように見えた。
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