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そんなドラゴンの群れを、無数の光、弾幕が剥ぎ取った。
私たちは、長い直線道路に、田んぼと道しかない広めの谷にいる。
その田んぼと言っても、作る人のいない荒地だけど。
弾幕はそこからやって来た。
一緒に逃げる乗用車より2倍は大きい、戦車やオーバオックスのようなロボットが並んでいた。
戦車の陣地を通り過ぎた。
クローラーに装甲と大砲を乗せた、見慣れた戦車がある。
4本足を持つ昆虫を思わせる物もある。
足止めを食らったドラゴンが、陣地に火や冷気、高圧水流を噴いて襲いかかる。
戦車隊からも、クローラーを響かせて何台か駆け出した。
目の前には一歩一歩が大地を揺らし、突進を掛ける筋肉質のドラゴンが!
駆ける戦車隊とドラゴンは、文字どおり激突!
戦車はドラゴンより少しだけ小さいが、はるかに重そうだ。
ドラゴンは痛そうに転んだ。
ものすごい土煙が上がる。
その後ろの山から、細長い影がいくつも浮かび上がった。
ドラゴンの群れは気付いてないみたい。
アパッチとかコブラとかいう、戦闘ヘリコプターの編隊だ。
一気に高度を上げ、落下の勢いをプラスしたミサイルや機関砲をあてている。
怪物たちの勢いが大分そがれた。
それでも何匹かが包囲を抜けだし、また襲ってくる!
その時だ。
空のさらに高いところから、小さな影がいくつも降下してきた。
影がドラゴンの頭上から襲い掛かる。
その一撃は人を一飲みにできそうな頭を、地面に無理やり向けさせた。
吐きだそうとしたドラゴンの火が暴発。
自分の火に、そのドラゴンは全身を飲み込まれる。
小さな影は暴発に巻き込まれることなく、次のドラゴンに向かう。
その動きは、ミサイルより早かった。
そしてサイズは、人間と大して変わらない。
『さっすがタケ君!』
シートベルトを着けてくれた人が空を向いて、うれしそうな声を上げた。
結構な人数で降下して来たのに、呼びかけたのは一人だけ?
装甲の前にいるから、モニターに映りつづけて、側にいるみたい。
タケ君が、空の人影の名前。
私の彼と、同じ。
「あ、あなたは誰なの!?」
混乱した私は、前の人に叫んだ。
蛇行運転にも、この人は微動さえしない。
「何でこんなことするの!?」
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