1989年の悔恨

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代わりに生まれたのは吐き気を覚える嫌悪感と、歯ぎしりする様な後悔ばかりであった。 あぁムカつく、何であんな気持ち悪いロリコンオタク野郎とやっちゃったんだろうと。  とにかく中絶手術はもう間に合わない時期に入っていたし、自分自身の生命を守る為にも、芳子には出産という選択肢しか残されていなかった。 そしてそんな過ちの結果だから、無心に乳を吸う罪の無い無垢な命も、排泄物としか思えなかったのである。  愛おしいとはとても思えなかったが憎んでもいなかった、十四才の少女なりに、産んだ子供には全く罪が無い事も理解しているつもりだったのだ。
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