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ちっとも嬉しく無かったが、彼女は思わぬ事で更に芳子を褒めた、
「すごいわねぇ、この子は平成生まれになるのよ! 昭和生まれなんかいずれ年寄りの代名詞になっちゃうんだから、新しい元号になってから産んでもらって良かったわねぇ」
看護婦、いや看護師は若過ぎる母親の気持ちを少しでも慰めようと口にしたのだろう。
望まない妊娠の末、どうしたら良いのか分からない内に中絶手術も間に合わない状態に陥り、こうして新しい命を産み出すハメになったバカな少女を慰めようと。
そして馬鹿娘は無礼にも鼻で笑ったと思う、透けてみえる大人の同情が、幼い胸に突き刺ささるよう痛過ぎて。
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