雪女の充血

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たとえ俺が就職できたとしても、 その先にあるのは 自分一人の生活を 養っていくためだけの仕事だし、 それを働けなくなるまで、 あるいは死ぬまで 繰り返して終わる人生だ。 そんな人生のための就活だから、 投げやりに臨んでは不採用の繰り返しで、 もう本当に嫌気がさして、 就活も人生も終わりにできるなら 雪女の吐息で凍死する方が 苦しまずに楽に死ねそうだと、 最近そればかり考えていた。 そうやって 自分の無謀な行動の動機を ほろ酔い気分で呟きながら、 いつもの帰り道、 近所の公園に差し掛かったとき、 「ねえ、雪って、きれい?」 そう後ろから声をかけられた。
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