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女の変化してゆく様に
怖くなった男は
恐怖で縮こまった喉を振るわせて
女の質問に答えることにした。
「ああ、きれいだ」
男が震える声で
女にそう言うと、
女は
にたりと
真っ青な唇を歪ませて、
「そう、これでも?」
そう言って
不気味な笑顔が浮かぶ口からは、
目の色と同じ
どす黒い血が
静かに流れ出てきて、
それを皮切りに
大きく開いた頬のひびや
充血しきった赤黒い両の目や
それから耳、鼻といった
顔中の穴という穴から
血がどんどん溢れ出してきて、
流れ落ちるそれらは
白装束を瞬く間に
真っ赤に染め上げて、
二人の足元の雪を
みるみる鮮やかな赤色に変えていった。
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