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そんな
女の様を見た男は
恐怖で目も離せなくなり、
さっきの質問への
自分の答えを悔やみながら、
女から
止めどもなく溢れ出る血を
眺めることしかできなかった。
「きゃはははははははははっ」
女が
血で赤く染まった歯を見せるように
口を大きく広げ
甲高い声で笑いだすと、
男の体は急に動くようになり、
尻もちをついた男は
そのまま立ち上がる余裕もなく
ばたばたと
その場の雪を這うように掻き分けながら、
女に背を向け一目散に走りだした。
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