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キリンルームに入る。私を見つけた優生が、駆け寄ってくる。いつもとは違う保育室で、いつもと違う先生とお友達と遊んでいたことを教えてくれて、キラキラの笑顔を見せてくれる。
「ふふ、楽しそうで良かった。帰ろっか」
帰りの用意をして、きょう先生と一緒に廊下を歩く。
ちょうど職員室から出てきたみさ先生とばったり出くわした。
「あ、お母さん会議お疲れ様でした。きょう先生も終わったの?」
「いえ、僕はもう一度戻ります。ほかのお母さんたち世間話で盛り上がっちゃって。てか、聞いてくださいよーみさ先生!さっき僕優生くんのお母さんに助けられちゃって!やっぱり素敵な人と素敵な人が惹かれ合うんですよねー」
きゃっきゃとそう言うきょう先生の言葉に、みさ先生の顔が一瞬曇ったのが分かった。
―なに……?―
その顔に、疑問がわく。
「……助けられるようなことって、何したかは後で聞くとして。すみませんお母さん、ありがとうございます」
みさ先生が私に向かって頭を下げた。「いえいえ、私は何もしてませんし、きょう先生も何をしたってわけじゃないんです」慌てて、そう言った。
一拍置いて、みさ先生は頭を上げ、いつも通りのトーンできょう先生に、言った。
「ちょっとだけ、お母さんと話したいから、優生くんのこと見ててくれる?」
不思議そうな顔をして、「あ、はい」ときょう先生が答えた。
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