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「あ、素敵。去年もおととしも、パズルをあげたことはないからいいかも」
「それなら良かった。これでいいなら、私注文しておきます。当日までに園に持ってきておけばいいんですよね?」
「そうそう!え~ありがとう、すんなり決まった!いつもなかなか決まらないのよねぇ」
萌ちゃんママが安心したようにパっと笑顔を見せた。
そして、会議に遅れて展示室に入ってきた違う学年のママを見つけ、「あらお久しぶりー!」と駆け寄っていく。
そのまま談笑に入り、他のママたちが話し込んでいる中、役目を終えた私は優生を迎えに行くために先に展示室を出る。
「あ、きりんルームですよね?お母さん場所知らないでしょうしご案内します」
きょう先生が私の背中にそう言葉をかける。
展示室を出てすぐの場所で「保育室と同じフロアですよね?大丈夫ですよ、分かると思います」と言ったけれど、「いえ」ときょう先生は一言言い、私と横並びに廊下を歩く。
「さっきはありがとうございました。話切ってくださって助かりました」
すぐに銀太くんの話題のことだと思い、いえいえ、と眉を下げて笑った。
「お父さんから聞いてるかもしれませんが、この間はお父さんに助けていただいて」
私は首を傾げる。
「あぁ、聞いてませんか?お父さんにとっては、あぁやって助け舟出すのが普通だからなのかな。かっこ良かったです」
何の話か分からなかったけれど、私はなんとなく、微笑む。優しい人だとは、分かっているから。
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