0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
妹の更生
「ただいまー」
高校の授業を終えたこの俺、河田水樹(かわたみずき)は家に帰宅した。
木造二階建ての家には俺と妹の二人が住んでいる。
ただいまを言っても、妹からのおかえりの返事はなかった。
俺は靴を脱ぎ、家に上がった。
とりあえず、俺は今日、学校をサボりやがった妹の部屋に向かった。
「水菜(みずな)~。いるか~?」
返事はない。ただの屍のようだ。
いや、そうじゃない。
扉に耳を澄ませば、微かにゲームのBGMが聞こえてきた。
いつものごとく、あいつはヘッドホンをしながら大音量でゲームをしているのだろう。
「入るぞ!」
あいつの部屋には鍵が付いていない。
部屋に入ると、カップラーメンの臭い匂いが鼻についた。
部屋には下着や服が脱ぎ散らかされていた。
水菜はヘッドホンをしながら、モニターを穴が開くくらい見つめていた。
予想通り、ゲームの世界にどっぷりと浸っているようである。
「おーい、水菜ー」
全く、気が付く様子がない。
俺達の母親は俺が物心つくころ、どこかに失踪し、父親は海外に出稼ぎに行っている。
俺は現在、高校二年生。
水菜は高校一年生で俺と同じ高校に通っている。
最初のコメントを投稿しよう!