もう一人の俺

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 さっきと同様、火の玉を発生させ、水菜に向かって投げた。しかし、 「無駄だぁ!」  雷のを纏った剣は、俺のフレイムボールを突らぬいた。  そのまま、剣は俺の胸へと突き刺さった。  俺の体力ゲージはゼロになった。 「勝った.....!」  水菜は勝利宣言をした。 「勝った......!」  俺も水菜の真似をして勝利宣言をした。 「フレイムボール!」  もう一人の俺が必殺技を放った。 「え?」  水菜が気づいた時には直撃していた。 「ゲームセット!」  ナレーションの声が流れた。  画面にはYou Win! の文字が浮かんでいる。  俺はVRゴーグルを外した。  水菜はVRゴーグルを掛けたまま、放心状態になっているようだった。 「おい、水菜」 「......」  返事はない。ただの水菜のようだ。 「おいって!」  俺は水菜のVRゴーグルを外した。  水菜の目には涙が浮かんでいた。 「お、お前。そんなに俺に負けて悔しかったのか?」 「そりゃぁ......私、自分ゲーム強いって思ってたのに......あんまりゲームしないお兄ちゃんに負けるなんて......」  やれやれ、どんだけゲーム好きなんだ。こいつは。  まぁ、一つのことにそこまで好きになれることは嫌いじゃないけど。     
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