もう一人の俺

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もう一人の俺

「うらぁ!」  いきなり水菜は俺に斬りかかってきた。  俺は慌てて木の影に隠れた。  ザンッとう音を立てて、水菜が斬った木が倒れた。  倒れた木の年輪もリアルである。よく見ると、木には数匹、昆虫がいる。 「オラァ!」  再び、妹が襲いかかってきた。  俺は慌てて逃げた。 「逃げんなぁ!」  水菜は逃げる俺を追いかけてきた。まともに闘っても勝ち目はうすいだろう。  俺は隙ができるのを待った。  しかし、段々と距離がつめられてきた。  全力で走っているのだが。  そういえば、魔法使い系の職業は身体的スペックがあまり高くないと聞いたことがある。  そのせいだろうか。 「隙あり!」 「うぎゃぁ!」  俺は無防備な背中を斬られ、俺は倒れた。  痛いけど......いや、痛くない。まぁ、ゲームだしな。  しかし、俺に横に表示されていたライフゲージは三分の一ほど減った。  打たれ弱いにもほどがあるんじゃなか?  隙を突くつもりが、見事、水菜に隙を突かれた。 「あははは! 私に勝とうだなんて、百年早いんだよ!」  水菜は剣を振り落としてきた。  俺は間一髪、避けた。 「この......ちょこまかと!」  俺は近くにいた蜘蛛に目をやった。     
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