妹の更生

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妹の更生

「ただいまー」  高校の授業を終えたこの俺、河田水樹(かわたみずき)は家に帰宅した。  木造二階建ての家には俺と妹の二人が住んでいる。  ただいまを言っても、妹からのおかえりの返事はなかった。  俺は靴を脱ぎ、家に上がった。  とりあえず、俺は今日、学校をサボりやがった妹の部屋に向かった。 「水菜(みずな)~。いるか~?」  返事はない。ただの屍のようだ。  いや、そうじゃない。  扉に耳を澄ませば、微かにゲームのBGMが聞こえてきた。  いつものごとく、あいつはヘッドホンをしながら大音量でゲームをしているのだろう。 「入るぞ!」  あいつの部屋には鍵が付いていない。  部屋に入ると、カップラーメンの臭い匂いが鼻についた。  部屋には下着や服が脱ぎ散らかされていた。  水菜はヘッドホンをしながら、モニターを穴が開くくらい見つめていた。  予想通り、ゲームの世界にどっぷりと浸っているようである。 「おーい、水菜ー」  全く、気が付く様子がない。  俺達の母親は俺が物心つくころ、どこかに失踪し、父親は海外に出稼ぎに行っている。  俺は現在、高校二年生。  水菜は高校一年生で俺と同じ高校に通っている。     
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