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雪のおでん
あなたは雪が降り注ぐ夜の中でおでん屋さんに入ったことはあるだろうか?そのおでん屋さんは部屋型ではなく、人力車のような店頭である。しかしそのおでんは本当に温かいのだろうか?お酒なんか勧められたら夜中は十分に気を付けるべきである。そう、これはそんな『雪のおでん』のある男の人から聞かされた話である。
その男性は白一面の雪の中、仕事帰りの帰路を歩いていた。いつもは街灯で明るい道も雪が降ってるおかげで暗くなっていたようだ。その男は早く帰ろうと足を早めていたらしい。そんな中で男の耳に一人の男の声が聞こえてきた。
「温かいおでんだよぅ。食べたら心もぽっかぽか」
薄暗い雪の夜の中で『雪のおでん』という旗を吊るしながらその存在感は眩しかった。男は空腹ではあった。独り身であるので家に待つものなどいない。強いていえば温かい布団がそこに待っているだけだ。
「寄っていくか」
そう思い、男はその店の椅子に座った。人力車のような店なのでおでんたちも座り心地がいいのだろう。煙がもくもくと出ているではないか。
やはり私以外はお客はいないようだ。それでも私はそこに座った。
「お客さん、何を食べます?」
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