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そのせいで、先輩とばっちりと視線が重なった。
すると先輩はすぐに顔を逸らせ「良いから、行くぞ」と言うと、私の手を強く握り再び歩き出した。
再び先輩は不機嫌な顔に戻ってしまった。
先輩は、私と付き合って何がしたいんだろう…?
それが不思議でしかたない。
ちょっと、聞いてみたいな…。
「ジロジロ人の顔見てんなよ」
先輩の横顔を眺めてると、前を向いていた先輩の目が私の方に向けられた。
「あの…。えっと…」
聞いても良いのかな…?
怒ったりしないかな…?
「何なんだよ…」
「あの…。先輩は…どうして私と…」
そこまで言って、口を噤んだ。
昨日、私は同じようなことを聞いたのを思い出したからだ。
そして、先輩は言った。
『付き合うのに、理由は一つしかない』って。
「いえ…。何でもありません…」
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