16人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひ、ひぃっ……おごぉっ!?」
突然のことに悲鳴を上げようとしたつばさの体。その口に、狙いすましたかのように、触手は一斉に飛び込んできた。
「おごっ!? おががああがあがぐっご」
醜い濁音のみがつばさの中から響く。口から侵入した触手は一切の躊躇なく次々につばさの体内に後続を送り込み、沸き上がる嘔吐感をも暴力的に蹂躙し、途轍もない圧迫感と不快感をつばさに与えていく。
そしてつばさは理解し始める。
この怪物が、自分の中で、何をしているのかを。
食べている。
こいつは私を、食べているんだ。
体が空っぽになっていくのを感じる。
自分の中身がなくなっていくのがわかる。
やめて。助けて。
死にたくない。消えたくない。
誰か。パパ……ママ……すず……マサ……
麗せんぱ……
…………
べちゃり。
薄い音を立てて、『それ』は倉庫の床に落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!