真琴

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店員がホット珈琲二つと、ホットサンド二つ運んできた。 「うおっ! 旨そうっ!何かマトモなもの久しぶりに食える」向井刑事がホットサンドを食べ始めたので、仕方なく質問は後にした。気付くと向井刑事は半泣きでホットサンドにかぶりついていた。ジジイの事を思い出しているんだろう……つられて、胸の奥が苦しくなるが今は感傷に浸っている場合じゃない。私も春海君と違う方向から真冬を追わなくてはいけない。あの生物と感染源について一刻も早く解明したいからだ。  向井刑事がホットサンドを食べ終わり、珈琲を飲み落ち着いたのを見計らって質問を再開した。 「向井は感染地域から離れていて助かったのか?」 「いや、俺は真琴さんの後を追って物置に入ったんですよ」 「は?」 (あの時に? 春海君に襲われたあの日?) 「真っ暗闇に落ちて気絶してしまったみたいで、気付いたら天井に穴の開いた和室にいたんです。直ぐ真琴さんを探しに二階にいったけど誰もいないし……物置は普通の物置になっていて何が何だか混乱しました。 で、外に出たら町の人があちこちで亡くなっていてさらにパニックです」 「物置の先にあった闇を抜けた人は、今回の感染するものに対して耐性がつくらしい、あんたが生き残れたのは真冬の計算外…多分」
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