41人が本棚に入れています
本棚に追加
金曜日、陸上部は週に一度の市営競技場での練習日だ。
観客席には練習を見学する生徒たちが数人。
わたしと親友の島田果歩もその中にいる。
「ここいいよねぇ。見学してても誰にも文句言われないし」
隣で果歩が幸せそうに笑う。
「学校じゃあまり見られないもんね――あ、慎ちゃんが走る!」
果歩の目が一人の男子の姿を追う。
トラックを走っている数人の中の一人、川島慎吾は果歩の彼氏だ。
果歩が毎週この競技場に見学にくるのは、その慎ちゃんの雄姿を見るためなのだ。
それに大人しく付き合わされているわたしは、かなりのお人好しなのかも。
最初のコメントを投稿しよう!