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「ねえ、わたし帰ってもいいかな。どうせ帰りは別なんだし」
一応、そう言って抗議はするんだ。
見学している間はいい。でも、練習が終わったら、果歩と慎ちゃんは一緒に帰るのだ。当然、わたしは別。
一人で帰るその虚しさと言ったら……。
「やーだよ」
にべもなく果歩は舌を出す。
「一人で見とくの、退屈だもん。それにさ」
果歩が意味ありげにニヤついた。
「最近は鈴もいい感じじゃん、透くんと」
「いい感じって――」
「あ、ほら。ちょうど透くん跳ぶよ」
果歩がフィールドを指差した。
そこでは高跳びの練習が行われている。
今スタートラインに立っているのは、クラスメイトの二条透だ。
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