プロローグ

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プロローグ

『時間』……これだけ聞いても、非常にありふれたものであまり重みを感じないだろう。 だがその時間の中で、何でもいい……何かを行なえば、その行なった事に関する事の『歴史』という言葉に切り替わる。 例えば、ある人物がいて、その人物はとある異性と恋に落ちて、結婚した……ここで夫婦としての『歴史』が始まる。 更にその2人は愛し合い、間に子供が出来たとすれば……夫婦の歴史から、家族の歴史へ……又はその子供の歴史が始まる。 『時間』とは、即ち『歴史』……どうだろう……言葉を切り替えたら少し重みを感じたであろうか。 では次に、その『歴史』……とある人物の人生の歴史から、国の建国からの歴史まで、その全てが始めから何もかも決められているとしたら、それを聞いて皆はどう思うだろう。 残念ながらこれはもしもの話ではない……真実だ。 日本の歴史……織田信長を例に挙げてみよう。 彼は日本の戦国時代で最も有名な武将で、天下統一を目指していたが、その目標が果たされようとする寸前に重臣の明智光秀に裏切られて本能寺で自害した。 当時、織田信長が天下統一目前で自害するとは誰も思わなかっただろう。 だがこれを読んでいる者達は全員知っている。 織田信長が本能寺で自害したという事は、もう決まっている事……揺るぎのない事実だ。 そう……当時から見れば予測できない事なのかもしれないが、未来から見れば予測も何もない……『歴史』というのは全て決まっている。 18世紀にフランスで市民らによる革命が起きた事や、同じ時期にアメリカ独立戦争によって、アメリカがイギリスから独立した事、更に20世紀、アドルフ・ヒトラーがナチスを率いてドイツの政権を掌握していた事も、全て決まっている事だ。 しかし、中には様々な企みによって、その『歴史』を打ち壊そうとする勢力が存在する。 これは、その勢力を打ち破り、『歴史』を護る組織の物語である。
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