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雅は、俯いた僕の顔を覗き込むようにして、椅子の前に座った。
「僕の……思い違いかもしれないんだけど……」
「うん?」
「昨日の夜……、僕の乳首……」
いや、やっぱり言えない。乳首吸ったのか? とか僕のあそこを咥えた? とか、素面じゃとても聞けることじゃない。ましてや、兄弟なのに。
「彩の乳首は、ピンクで、甘くて……」
「あっ!」
雅は、僕の胸をシャツの上から舐めた。
「敏感なんだ……」
唇の先で摘ままれると、昨日のことを思い出したのか、キュンと硬くなってしまった。
「あん……っ、やっぱり、あれ、夢じゃ……ううんっ!」
「夢? 夢って僕が彩にしたこと?」
「ま、まて……って、ううっ、やっ!」
乳首を摘まんだまま喋られると、僕の聞きたいことも聞けやしない。
「頭押さえつけられたら、離せないけどね……」
「ば、馬鹿……。学校いかなきゃいけないのに――」
ふふっと笑った雅は、「ごめんね」と僕の頬にキスをした。
「謝るくらいなら止めろよ」
「本当は止めたくないんだけど、彩は真面目だから……」
身体が元気なのに、休むのは嫌だ。
「シャツ、出して……」
「うん、僕ちょっとトイレいってからいくから、彩はここで抜いていってね――」
「バカッ!」
「抜いて上げたいんだけど、結構僕の忍耐も限界だから……。彩、愛してるよ」
「ばか、馬鹿、バーカ!」
「彩ちん、もう、可愛いなぁ――」
雅は、我慢できないと言って、僕の頤を掴んで、キスをしてきた。唇を合わせるだけじゃない、僕の中を味わうように舐めたり噛んだりしながら、雅は僕の中を味わっているようだった。
「ん――」
こんなの煽られているだけじゃないか。身体は熱くなるばかりで……。
「あーや……」
僕の脇腹を、雅の指がなぞって、身体が震えてしまう。止めなきゃいけない、ってわかっているのに、止まらない雅と止められない僕。
ドンドン! と扉が叩かれて、僕は瞬間、雅を突き飛ばしていた。
「誰?」
いつもより低い声で雅は、扉を睨めつけながら訊ねた。
「お前ら、もうそろそろ時間だからな!」
亘だった。こういうところも気が利く男だ。まるで見ていたかのようなタイミングの計りかただ。
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